教室通信141号(平成19年9月)より
9月24日、母校桐蔭学園の文化祭・鵬翔祭に行ってきました。書道教室にたくさんの桐蔭生の方がみえているので、毎年必ず見に行きます。書道部もきちんと展示しているのを見るとうれしくなります。 私が高校2年のとき、第1回の鵬翔祭で、そのときの1コマが思いがけず卒業アルバムに残っていました。当時、書道同好会は私を入れてたったの4名、それなのに展示スペースとして教室1つをもらってしまったものだから、たいへんなことになりました。4人で、教室をどうやって埋めるんだ?悩んで悩んで、もう始まっているのに、まだ教室はがらんとしていて、何やっているんだ、と外から扉を叩く音がする、というところで夢からはっと醒める、なんていう思いをしました。考え上げた末に、一人が全紙(1.4×0.7m)以上の作品を書くこと、それに共同作品として、楷・行・草・篆・隷書などの文字を書いて切り抜いた、太陽光を利用した「文字のステンドグラス」の2つを企画しました。上の写真で、制服(当時は詰襟)の後姿はおそらく私、女性の影に半ば隠れているのは私の作品「幽」、左側の窓に貼ってあるのがステンドグラスです。結果は大成功。来場の方々にずいぶんご好評をいただきました。 今でもよく思い出すシーンです。この時ほど、夢中になって一つの事に取り組んだことはなかったです。この年齢では、それが尊いことなのです。ですが、その時はそのことがわからない。なんで英語とか数学をやらなくちゃならないんだ?毎日、退屈だなあと思っているのが普通です。他に何も心配しなくていいから、ただ目の前のことに全身全霊で取り組んでほしいと、今の私のこの年齢になると思うのですが。 桐蔭学園も校舎や制服が変わり、ずいぶん様変わりしました。でも、中学・高校生の姿を見ていて、ひたむきな姿にはやはり感動します。今の私の書に対する考え方は、この時が出発点になっているのかもしれません。 |