私の作品について・古典とのかかわり

教室通信199号(平成29年2月)より

 2月、二つの展覧会にて、佐藤高翔の作品が展示されました。それについてご紹介させていただきます。
  
左:第24回 神奈川県代表書家展  桜木町・ゴールデンギャラリーにて
独鶴當窓松影痩老龍帰洞夕陰涼 鶴と龍がいて、雨が晴れ夕風が涼しい。
右:第42回 町田市民美術展 町田市立国際版画美術館にて
鳥弄歌声雑管弦 鳥の声とオーケストラの音の融合。
 書において、最も大切なのは、古典の裏付けがあることです。自己流はいけません。私は今まで主に、中国明代の書家・傅山(ふざん)の書風を基に作品づくりをしてきました。大胆で気持ちから先に動いていくのがとても魅力に感じました。代表書家展の作品がそれです。右に添えてあるのが、傅山の作品です。どうでしょう?書風は似ているでしょうか?
 一方、市民美術展の作品は、木簡(もっかん)を基にしました。傅山よりずっと古く漢の時代、隷書という書き方がまだ完成されない時期の字です。紙がまだなかったので、木に書いていたことから木簡と呼ばれました。自由奔放にして、気宇壮大であるところがいいです。書者の名前はわかっていません。実は私が書道教室を開く前にも手掛けていました。若い頃は勢いばかりでしたが、ここにきて、またやってみようと思うようになりました。同じく右に添えたのがその原本です。字は違っていても、書き方の雰囲気が似ているかどうかを見ていただければと思います。
 書には、書き方の規則(=書法)があり、それを根底にしていないと、我流になってしまいます。それはいけません。法を守りながら、気持ちで線を引くのが理想です。簡単なことではなくて、もがき苦しんでばかりですが、その精神は忘れないようにしたいです。
 昌熾誌の中学生以上の方の課題は、王羲之(おうぎし)をはじめとする古典が基本になっています。将来的にも役立つようにと考えられてのことです。むずかしいとは思いますが、ねばり強く学んでいただきたいと思います。

町田市民美術展 会場風景

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