作品のことばを考える

教室通信135号(平成18年9月)より

 展覧会で書作品が飾ってあって、わあすごいなと思って見とれている時に、書いてあることばを味わったことはありますか。見ている方は、白黒の美しさや、線の妙味に目がいきますが、書いている方は、どんなことばを作品にしようかと常に考えています。ぜひ、書いた人がどんな気持ちでそのことばを書いているかも、味わってみていただきたいと思います。お子さんの作品の場合でも同じことです。
 書は視覚芸術なので、書かれた状態で見栄えがいいように、ことばをつくるときに考えます。作品の中央に、画数の多い、かっこいい字が来ること、似た字が横に並ばないようにすること、漢字とひらがなのバランスなど。それらの条件を満たしていて、それでいていいことばとなると、なかなかできません。考えすぎてもだめですし、といって考えないわけにもいきません。何行で書くか、紙のサイズをどのようなものにするかにも関係してきます。私がこれまでの作品を思い起こしてみても、これはよかったと思えるものは、いくつもありません。
 人が作ったことばを借りる手もありますが、書くのは私だから、ことばも私が考えたいです。小説や、短歌でもない、書作品だから、みて、ああいいなと思えることばがあるはずです。書という芸術分野が成り立つかどうかは、このあたりにも関係してくるのではないでしょうか。
 皆さんも、書作品にするためのいいことばを、日頃から探しておくようにするといいと思います。

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