書に卒業はない・親子書道

教室通信248・249号(令和7年6・8月)より

 書は、年小の時から始めたとしても、小、中、高、大学生、大人と、卒業はなく、一生続くものです。それが魅力です。
 ただ簡単なことではなく、成長と共に切り替えていかなくてはならないことがあり、それが難しいと共に、人生において役立つことがあるのではないでしょうか。
 小学生までは、楷書を学びます。一点一画、形正しく心を込めて充実した線を引くようにします。中学生になると、行書になります。楷書を基に、点画に流れをつけて書きます。この時、行書の手本だけをみていたのではだめで、楷書が根底にあることを忘れてはいけません。元々の線と、流れのために生じた線がごちゃごちゃになると、字として成り立たなくなります。
 高校生になって、草書や仮名を学ぶと、そのことがさらに押し寄せて来ます。字の中の流れも大事ですし、字から字への流れも考えなくてはなりません。その上、草書の理解には、隷書や篆書の知識も必要になります。これだけのことをやるには、時間がかかりますし、長年取り組んでいた方が絶対に勝ちです。「書に卒業はない」ということになります。
 今、自分の身に何か降りかかったとします。良い事でも、悪い事でも。それは見えている事のみが原因なのではなく、それを引き起こした何か目に見えない原因があるのではないでしょうか。行書や草書・仮名を目にして、むむ!この字は楷書ではこうだよな、というような考え方が他の事でもできれば、人生に役立つようになるのではと思います。
 今見えている風景は、同じ位置からでも他の人が見るとまるで違って見えるのです。それを誰が見ても同じと思ってしまうと、争いの原因になりますよ。基本に立ち返って、基本をみるようにするといいですね。
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 書道教室では、親子(またはおじいちゃん・おばあちゃんとお孫さん)で並んで筆を握る光景がよく見られ、微笑ましいことです。世代を越えて取り組める芸術ならではと言えるでしょう。
 ただ、実際にはそう簡単なことではありません。時々、お互い取り組んでいることについて喧嘩になることがあります。
子「お母さん、かすれちゃいけないんだよ!」
母「何言ってるの!かすれなきゃいけないのよ!」
 親の方に、筆遣い(縦・横・斜めの基本点画の引き方)をお教えしている時に
子「そんな簡単なお手本、ずるい!」
親「これが難しいのよ!」
 まあまあ、書に卒業はない、とも関連しますが、長い人生の中で、何を良しとするかの価値観が変わることがあり、その違いからすぐにはお互いが理解できないのも仕方のないことですね。親子書道をやるには、それはそれは大きな相互理解が必要なのは間違いありません。
 また、親の方が一緒に筆を握るのでなくても、送り迎えで一緒に来て、お子様が書いているのを見ているだけというのも、親子書道です。この場合は、見ているだけというのがさらに喧嘩を助長することがあります。
子「わかっているけどできないんだよ!黙ってて!」
 見ているのも辛いですよね。教室としては、親の方にはお子様の行き帰りの安全監視と、教室内で他の方に迷惑をかけないようご指導だけをお願いしたいのですが、ついつい言いたくなるようで。
 まあこれも、ずっと一つのことに取り組んでいるからこその親子の姿でしょう。年に一度、教室の展覧会で、親子揃ってお互いの作品を批評し合うのが恒例行事です。それを目指してがんばってくださいね。

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