プロフェッショナル?!

教室通信188号(平成27年6月)より

 私はNHKの番組「プロフェッショナル」が好きで、よく見ます。どんな仕事でも、プロ意識を持って取り組みたいと思っています。
 番組の中で、こんなシーンがありました。世界的なバイオリニスト、五嶋みどりさんが、身体にハンディを持つ子供達のオーケストラの指導をされています。みどりさんが見ている前での子供達の奏でる曲はたどたどしく、途中でリズムがバラバラになり、途切れそうになります。ここで、みどりさんがすっとバイオリンを手に取り、メロディを弾く…。すると途端に、子供たちの目が輝き出し、バラバラだった各パートが一つになって、力強く奏で始めます。曲が終わった時、子供達は大感激で、涙があふれ…。
 みどりさんは、「私がこういう活動をするのは、音楽を極めるためです。」とおっしゃっているとのこと。
 私はここでふと、バイオリンがみどりさんではなくて、アマチュアのバイオリンだったらどうなっていただろうかと思いました。曲が一つにまとまることはできたでしょうか?ポロローンと何気なく弾く曲であっても、鍛えこんだプロであるからこそ、他の人を惹きつける何か強い力が働くのではないでしょうか。
 振り返って、私が皆様に書のご指導をする時、少しは皆様より書は経験している身ですが、みどりさんのバイオリンほどの力はあるだろうか?と思います。五嶋みどりさんと私とでは比べるべくもありませんが(^_^;)指導者が生徒に何かを指導する時、生徒の2〜3倍の力量ではだめで、1000〜10000倍くらい勉強していなくてはならないと思います。私はそこまでは自信はありません。だから、まず自分が勉強をしなくてはと思っています。何とか自分の作品を良くしたいと、もがき苦しんでばかりです。
 展覧会の時に特に、指導をする身の力量が問われます。私のご指導が、皆様にとってほんとうに導きになっているかどうか。皆さんが筆を持ち、書いている姿を目の当たりにして、私はいつも心の中で手を合わせています。「どうかいい作品を書いて!」
 ですから、芸術は常に最高レベルを目指していなくはいけないのだと思うのです。

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